ほんとうに大切なもの
印象
初めて開かれた扉の中は、とても華やかで
別世界のようだった。

「いらっしゃいませ」

整った顔の男の子が、私たちを席へと誘導してくれた。

私たちは緊張しすぎて口から心臓が出そうな勢いだった。

「ご指名の方はおられますか?」

そう聞かれたので、私たちはユウヤとツカサの名前を告げた―。
彼らは人気ホストであるゆえ、すぐに席には着いてくれなかった。
しばらくはヘルプのシイナらと話をしていた。

挙動不審者かのように、キョロキョロあたりを見渡した。
見渡す限り、”イケメン”といわれるホストばかりだった。
おそらく、最初にメールをしていた代表らしき人もいた。

ツカサが先にサヤちゃんの席へとついた。

「はじめまして。来てくれてありがとう」

ツカサは目鼻立ちも整っていて、写真通りのイケメンだった。

数分後、いよいよユウヤが私の席に現れた!!
「メグ、来てくれてありがとう。」

写真より、実物の方がカッコいい。
顔が小さくて、細身のカラダ。 
笑うと顔がくしゃくしゃになる。

まるっきり、”理想の人”だった。

緊張して何を話したかすら、覚えていない。

人気ホストだったため、あまり長くは席に着いてくれなかった。

時間が来たので最後に連絡先を交換し、記念に携帯で写真を撮って終了。

帰りには穴が開くほど携帯の画像を見続けていた。

ナマのユウヤに私はすっかり惚れこんでしまったのだ。
ホストクラブなんて1回で十分、2回目以降は高くなるから、絶対行かない!
そう決めていたのに、そんな気持ちはどこへやら…。


数時間後、携帯の着信音が鳴った!!

「誰だろう…」

と、携帯を開くとそこには

”ユウヤ”

一気に、背筋がシャキッとした。
「もしもし」

「あ、メグ?今日は来てくれてありがとう。めちゃ嬉しかったよ。また来てね」

私はあたふたしながら、震える手で電話を切った。

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