キミが大好きだから〜陽菜へ〜

俺がきっぱり断ったのをみて、


紺野が再び緊張で固まってしまった。


悪ぃな。紺野。



俺もなにか言われるかな、と思って正直身を少し硬くしてたけど、


社長の口から出てきたのは意外な話だった。



それはゆぅさんの話。


名前ははっきりといってないけど、俺には分かる。


あの頃、


俺に話してくれたゆぅさんの言葉の意味。


時を越えて今俺に再び語りかける。



「大事な人のために作る曲。うたう歌」



あの話が今また俺の胸に深く染み渡っていく。


俺の大事な人。


大切な人。


守りたい人。


・・・・・・

見ると、陽菜の目からは大粒の涙がこぼれかけているところだった。



ゆぅさん。



俺に音楽を教えてくれてありがとう。



そしてこの目の前にいる女性、陽菜をこの世に産んでくれてありがとう。


おかげで俺は



人のために曲を書きたいと思うこと。


そして、人を愛することを知ったんだ。





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