キミが大好きだから〜陽菜へ〜
少し胸がざわめいているのを無視するように、彼女から目を離し、


紙に書かれた二人の名前を見た。



「陽斗」

「陽菜」



ホントだ。


同じ漢字が並んでるのを見て、なぜか笑いがこぼれたことはその時はまだ意味がわからなかったんだ。


説明できないことだらけだ。


俺の本名教えたことも。



交わしたのは他愛のない話題だったけど、それすら覚えていないほどいつのまにかこの時間を楽しんでることも。


「陽菜」はボサボサの髪型、メガネの俺のことを心から知りたいと思ってくれてる感じがする。



どちらでもない素の俺と向き合ってくれてる?もしかして。


俺は優しく落ち着いた気持ちに満たされて行くのを感じていた。


少しずつ速くなる胸のざわめきは、きっとアルコールのせいだろう。


きっと…。
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