キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「これ・・・」
かすれた声で反応した俺に、その男性は持ち主が見つかったことでやっとほっとしたような顔をして、言ったんだ。
「患者さんの多分、左の手の近くに落ちてたものなんです。搬送でばたばたして今頃になってすみませんでした。」
そういって、その救急隊員の男性はひとつ礼をして去っていった。
指輪を手のひらに載せると、少し冷たくて。
そっと見ると裏側には「H to H」の文字が入ってる。
これは陽菜にも言ってなかったメッセージ。
昨日、俺がお店で彫ってもらったもの・・・・・・。
陽菜・・・。
陽菜、怖かったよな。
陽菜、心細かったよな。
陽菜、俺の名前を、きっと呼んだ・・・よな。
何回も何回も。