キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「おい・・・haru・・・」
物音を聞いて隣の部屋から駆けつけてきた紺野が、
俺の様子に立ち尽くす。
手にはファックスの用紙を持ったままで。
「また曲の依頼?」
「・・・・・あぁ・・・」
俺はソファに座り込みながらぼやいた。
「なんか、俺の今の状態って、ほらあれ。あの話に似てるな・・・はだかの王様」
正直言って、俺の今の状態は多分、日本で成功、アメリカ進出も成功。
ってことに世間ではなるんだろう、きっと。
「曲なんかつくれやしないのにな?・・・」
俺のつぶやきは静かな部屋に低く響いた。