キミが大好きだから〜陽菜へ〜
初めはそんなことあるわけない、と思ってた。
だって、ゆぅさんに出会ってからこれまでなにがあっても俺の一番近くに音楽があったんだ。
日本で作っていた音楽が俺の手を離れて、映画が完成してみると、
俺に残っていたのは、ただの疲労感・虚無感だけで。
ピアノの前に座っても、
白い譜面を眺めても、
何も感じることはなく。
初めは紺野にも「燃え尽き症候群か?」なんて言われて、
自分でもそうかな、と思い込もうとしてたけど。
なんか、違う。
これまでと。
とわかったのは、皮肉なことに作り上げた映画の音楽が高く評価され始めた頃だった。