キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「失礼します」
挨拶が聞こえたけど、扉が閉まる音がなかなか聞こえなくて、ピアノに向けていた視線を移すと、シオンが唇を噛んで立っていた。
「なに?」
そう俺に言われてシオンは顔を真っ赤にしながら、言ったんだ。
「私、haruさんのビアノも音楽も好きです!日本の時も、こっちに来てからの曲も。」
多分怪訝そうな俺の顔がわかったんだろう。シオンは少し泣きそうになりながら言葉を続けた。
「だから、応援してます!」
ぶはっ、と思わず吹いた俺の顔をシオンはあっけにとられて見てる。
だって、顔真っ赤にしてさ、ぎゅっと目をつぶって、
なんか、おかしかったんだ。
ファンです、とか応援してます、とか、スタッフも含めて俺のプレッシャーにならないようにこの最近は聞いたことがなかったのに。
なんでかな、シオンから言われたらそんなに嫌な感じには思わなかった。