キミが大好きだから〜陽菜へ〜
彼女の髪の毛。
彼女の頬。
唇・・・・・・。
陽菜・・・。
目を見開いて固まる俺の頬にそっと手を添えて、シオンは静かに言った。
「もしかして、その女のこのこと考えてますか?・・・私は・・・それでもいいから・・・」
つま先立ちしたシオンの唇が。
「彼女」の唇が、ゆっくりと近づいてきて、
半分わかってて半分わかってない頭の中で、
これでもいいのかもしれない・・・
俺は、そっと目を閉じた・・・・・けど。
目を閉じたまぶたの裏に鮮やかに笑う「彼女」の顔。
「ハルト!」
「・・・・・・陽菜・・・っ!」
思わずつぶやいた俺の言葉に、空気が固まった気がした。