キミが大好きだから〜陽菜へ〜

彼女の髪の毛。


彼女の頬。


唇・・・・・・。




陽菜・・・。




目を見開いて固まる俺の頬にそっと手を添えて、シオンは静かに言った。



「もしかして、その女のこのこと考えてますか?・・・私は・・・それでもいいから・・・」



つま先立ちしたシオンの唇が。



「彼女」の唇が、ゆっくりと近づいてきて、



半分わかってて半分わかってない頭の中で、



これでもいいのかもしれない・・・





俺は、そっと目を閉じた・・・・・けど。



目を閉じたまぶたの裏に鮮やかに笑う「彼女」の顔。



「ハルト!」



「・・・・・・陽菜・・・っ!」



思わずつぶやいた俺の言葉に、空気が固まった気がした。

















< 305 / 412 >

この作品をシェア

pagetop