キミが大好きだから〜陽菜へ〜
大学の門の近くに紺野をタクシーで待たせたまま、
俺は、深く帽子をかぶり、サングラスをかけ、気持ち顔を覆うようにしてマフラーを巻いてからキャンパスを歩く。
そういえば、この時期文化祭なんだよな。
夜で、人は少ないとは言え、ちらほらと上気したような顔の学生がグループで騒いでいるのが見えた。
いいよな。
そういえば俺、卒業式さえ出られなかった。
友達、っていうのもなかったことを思い出して、
我ながら面白みのない学生生活だったな、なんて少し思う。
ただ、最後の1年を抜かして。