キミが大好きだから〜陽菜へ〜
俺はもう一度だけ、ツリーを眺めて、軽く息を吐き出してその場を離れた。
「haru?」
ひそひそ話をしていた学生が話し掛けてきた。
俺のこと、だよな?
ばれたの?
てか、haruを知ってんの?
驚きで足をとめた俺を学生が数人取り囲む。
「あ〜、やっぱり!」
「きゃー、すごいっ!」
そのまま足を動かして無言で行き過ぎようとした俺に、その中の一人が言葉をかける。
「日本に帰ってきたんですね。待ってました。私二年前のライブからずっとずっとharuのこと応援してます!」
「ありがと」
思わず出た言葉は俺の本心。
くじけてるharuの心にまっすぐ届いた嬉しいファンの言葉。
今までにない嬉しさで俺は学生達と握手をして別れたんだ。