キミが大好きだから〜陽菜へ〜
舞は言いかけた言葉を笑顔で隠して、
紺野と挨拶を交わしている。
何を伝えたかったんだろう・・・。
多分・・・予想がつくけど。
聞かなくてよかったんだよ、きっと。
俺は今回、前を見るためにここに帰ってきたんだから。
舞が、「失礼します」と礼をして去っていくと同時に、
紺野は、
「どっかで見たことあるんだよね・・・どこでだろ」
と首をひねってたけど、俺はあえて答えなかった。
ここにいれば否が応でも入ってくる彼女に関する情報に
俺はまだ耳をふさいで、目をふさいで、
・・・そこまで余裕がなかったんだ。