キミが大好きだから〜陽菜へ〜
固まる俺は息が出来ないほどで。
紺野も横で言葉を一瞬失っていたけど、はっと我に返ったように出版社の水島さんに挨拶を交わし、名刺の交換をしている。
なんで?
なんで?
言葉にならない問いが頭の中、俺の体全身を駆け巡る。
陽菜・・・。
髪型が変わってる。
メイクもきっと変わってる。
けど、彼女を包む雰囲気は全くあのときのまま。
俺が彼女を見つめたままなのを多分水島さんは違う意味に捉えたんだろう。
「あぁ、こちらは今日アシスタントで入ってもらう柚木です。すみません。急に」
「いえ・・・」
やっと出たかすれた言葉はきっと彼女には届かない。