キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「大丈夫です。誰にも言ってません。それに誰にも言うつもりもありませんから」
にこっと大きな口で笑った彼の表情に嘘はないと直感して、俺は大きくため息をついた。
「でも、なんで?」
小畑さんは再びシャッターを覗きながら淡々と話を続ける。
「あの写真は私だ、ってヒカリが言って大騒ぎだったけど、あんなの見りゃすぐにヒカリ本人じゃないことくらいカメラいじってるやつだったら特にわかるよ。
でも、実際誰なんだろう、ってもちろんわからなかったけど、
ゆずが会社に入ってきて挨拶したときに何かを感じたんだ。
どこかであったことがある、って。
それがあの写真だったんだな、って」
小畑さんはポーズをとり忘れてる俺をかまわずに撮影し続ける。
「最初の挨拶をした時、ゆずは『真実を真実のまま伝えられる強さを身に着けたい』って話したんだ。少しでも面白くするために脚色をいかにつけるか、ってことに知恵をふりしぼる奴が多い中、俺はしびれたね」
俺は聞きながら、手を胸の上に当てていた。