キミが大好きだから〜陽菜へ〜
ハルコさんが何か陽菜に話してる・・・
・・・・・・・っ!?
俺はあることに気づいてぱっと振り向くと小畑さんがピースサインをつくって見せた。
「あなた・・・っ、わざと?」
「いやぁ~?黒田カズマが今着くって言うのは本当のことだし、もちろん俺が仕組んだことでもない。俺は何かを感じるんだよ。これは運命だって」
運命・・・。
忘れかけてた言葉だ。
あの頃はよくそれを感じたつもりでいたのに。
「小畑さん、俺はあいつから離れるって自分で決めたんです。あいつにふさわしいのは俺じゃない」
小畑さんは、指でフレームを作ってそれ超しに俺を覗きながら話した。
「あんた・・・ゆずが好きなんだろ?」
「なっ・・・」
「そんなのカメラがなくても誰が見てもわかることなんだよ!」
一瞬語気を強めた小畑さんはフレームを崩して今度はにこっと笑いながら優しく言ったんだ。
「本当のことをそのまま伝えたい、これがあいつの目指してる夢なんだ。それって今のあんたにも通用することじゃないかい?過去でもなんでもなくて、あんたの今の本当の気持ち、それが大事なんじゃないか?」
本当の・・・こと。
本当の・・・気持ち。
俺の・・・今の気持ち。