キミが大好きだから〜陽菜へ〜
おさえようとするけど、俺の体は正直者だ。
小走りでこちらに向かってくる陽菜を見ると、
胸の鼓動とともに、小さく体が震えてくるのがわかって、
俺はぎゅっと片手で腕を押さえた。
「すみません。こちらの事情で・・・」
彼女の謝る声に正面から向かい合うことが出来なくて、
俺はわかったと軽く首を下げてから、目をそらしてしまった。
胸の鼓動が苦しい。
「じゃ、行きますか」
小畑さんの言葉で、俺は観覧車を見上げた。
それはあのときと同じようにたっていて。
今までのこの空白の時間が全くなくて、今あのときに戻ったようなそんな錯覚さえ覚えた。
そして、感じる淡い期待。
けど、
少し嬉しそうな彼女の言葉に、俺はやっぱり現実を思い知るんだ。
「夜の観覧車なんて、初めてです!」
陽菜・・・残酷すぎるよ。
俺ははじめて、そう思った・・・・・・・。