キミが大好きだから〜陽菜へ〜
彼女はこちらをもう見ることもなく、夜景を見ている。
ただ、黙って。
黙って・・・
陽菜・・・・・?
その視線の、いや目の不自然さを俺は意味もなく感じてた。
陽菜?
彼女の視点は遠くを見てるような近くを見てるような、
焦点が定まらないようなそんな感じ・・・
そして、左手で胸のあたりを掴んでいる。
震えてる?
「ひ・・・」
陽菜、と思わず出かけた言葉は、虚しく空を切った。
陽菜がこちらにゆっくりと向き直る。