キミが大好きだから〜陽菜へ〜

頭の中に浮かんだその言葉にはっとする。


きっと熱でそう思ってるだけだ。



こんなときに来てくれた女は今までたくさんいた。


俺は目を閉じ、忘れかけた女たちの顔を思い出そうとしたけど、


頭の中に出てくるのは、やっぱり「彼女」の顔だけだった。



「ヒナ」



つぶやいた自分の声で


確実に自分が彼女を意識し始めていることに気づいたんだ。


俺は彼女のことを知らなくて、


彼女も俺のことを知らなくて、



でも、そんなこと今はどうでもいいんだ。





目を閉じたまま、笑いが出る。


おかしい、

絶対今の俺おかしい。


てか、この数日の俺。


どうしちゃったんだよ…




それでもまだ俺はあがき続ける。


きっとこの熱のせいだ。


体が治れば、きっとまたいつもの自分に戻れるはず。



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