キミが大好きだから〜陽菜へ〜
紺野の電話を切って、俺は少し混乱した頭を整理する。
とにかく、俺を追いかけてくれてる?陽菜が?
俺の想像じゃ、今頃カズマと新しい道を進んでるはずだった彼女が?
俺は目を閉じた。
雪に向かって。
空に向かって。
「なぁ、陽斗、本当に大切なものは目に見えるものではなくて、見えないもののほうなんだ。だからいつでもまっすぐ自分の気持ちを大事にしろ。そうすればいつか、きっとお前の一番大事なものが絶対見えてくるから・・・」
今、彼女が求めてるもの。
それがもし俺の求めてるものと同じだとするなら。
ううん。俺が求める気持ちがあるのなら、きっと俺の「いちばん大切なもの」が見えてくる。
熱い涙の筋が、頬に当たる雪を溶かして流れていく。
大切なもの。
なにがあってもなくしたくないもの。
それは、陽菜の笑顔。誰の横でもない、俺の隣で笑う笑顔。
それだけだ・・・。