キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「ハル」
呼び止められて振り向くと、イケメンが立っている。
「カズマ」
「ここでお前と会うの珍しいな」
「うるさいよ!」
「何?真面目に授業?」
「この格好見たらわかるだろ?」
「はは。さすがに卒業がかかってくるもんな」
「ゼミは出とかないとさすがにやばいでしょ」
『仕事』でほとんど学校にこれなかった俺は、ゼミの担当教官に大分救われてる。
「それにしてもハルト…」
急に小声になるカズマ。
しかも俺の名前をそのまま呼ぶなんて、こんな時はたいてい真面目な話があるときだ。
「お前また最近ひどくなってる、って親父が心配してたぞ」
「……」
「ハルト」
「じゃ…」
カズマの声を遮り教室にむかいかけた俺にしょうがないな、と言うふうに苦笑してから、気づいたように再びカズマからの声がかかる。
「確かお前…工藤ゼミだったよな?」
「そうだけど?」
カズマは何か言いかけたけど、
「いや、いい」
手をひらひら振って研究室に入って行った。
…へんな奴。