キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「ゆず!」
久しぶりにゆずと呼ばれて私は腰が何センチか浮くくらいびっくりした。
「ほら、またぼ-っとしてる!なんか違うこと考えてたでしょ!?」
あ。
「すみませんっ!」
「やっと一人でもインタビュー任せられるかな、って思ってたのに、これじゃあ・・・」
「頑張ります!」
ハルコさんはぷっと吹き出して、まいっか、と小さくつぶやいた。
「さ、気を取り直して、今日の取材ちょっと気難しいかも・・・」
え?そうなんですか?
「あんた、本当顔に出やすいからそういうとこは仕事では直しなさい!」
慌てて両手で頬を押さえた。
「けど・・・・・・私が出会った頃から、雰囲気が変わったね。優しくなったよ。うん。それはそのままでいいからね」
「・・・ありがとうございます」
部屋のドアノブがまわる音がした。
さぁ、仕事の始まり。
この時は何回経験しても緊張する。
そして、そっとドアに目をやると・・・
「ハル・・・っ」
ト・・・と言いかけて慌てて口を押さえた。
え?なんで?
今朝電話でしゃべった時には何にも言ってなかったのに。