キミが大好きだから〜陽菜へ〜
「紺野!これで終わりだろ?」
パーティーも終盤、俺の出番はこれで終わりのはずだ。
俺は、いったん、ステージの袖に戻り、紺野に言った。
「俺、抜けるわ。ごめん」
「haru!」
紺野が何か言ってるけど、ごめん。
俺はとにかく部屋においてきた携帯を手にしたかった。
ステージ横の待機用の部屋を後にすると、
待ち構えていたカメラマンや記者の集団に囲まれる。
こういうことか…
俺は今更ながら、自分の自由がふさがれる感覚に襲われる。
とにかく、自分の部屋に戻りたくて、急ぎ足で歩く俺の目に止まったのは、
廊下にあるソファにぽつんと座っている、彼女の姿だった。