キミが大好きだから〜陽菜へ〜
静かな廊下で俺の声が響いた。
「俺……柚木陽菜が好きだ」
後ろ背を向けたままのカズマの体がかすかに動いた気がした。
「だから……ごめん」
カズマはとても低く搾り出すような声で
「本気なのか?」
とそのままの体勢を崩さず俺に尋ねた。
「あぁ」
俺の言葉を聞いて、何も言わずにカズマは歩き出し、廊下から消えていった。
ごめん、ごめん。カズマ。
俺の今までのこの気持ちは、嫉妬というものだったんだろうと今更思うんだ。
まだ間に合うなら、
そして許されるなら、彼女に俺の気持ちを伝えたい。
それがダメでも、俺はかまわないから。