キミが大好きだから〜陽菜へ〜
ロビーに、彼女はもういなかった。
カズマの姿も。
俺はぼんやりとした足取りで、
エントランスからタクシーを拾った。
タイミング、というものがあるんだろうか。
俺はそれに負けたのか?
タクシーの座席に深く腰掛け、目を閉じる。
俺の頭にはっきりとした何かがはじけた。
タイミング?
そんなの俺がぶっ飛ばしてやる。
俺は、再び携帯のボタンを押す。
ガチャ。
「…はい」
高鳴る胸を押さえる。
俺が伝えたいことはこれだけ。
「会いたい」