紺碧の地図
だから、その周囲にいた人たちは皆、常に注意を払っていたんだ。
―――が。
「…ママーッ」
子供たちは、既に避難を終えていたはずだった。
けどそこには、あるはずのない、小さな子供の姿。
「ママァ…どこー?」
体中が汚れ、瞳には大粒の涙が溜まっている。
どうやら、親とはぐれ、避難しそこねたらしかった。
その小さな叫びを聞いた瞬間、誰もが危ないと思った。
子供は、燃え盛る炎の、すぐ…近くにいた。
「…ぼく!危ないよっ!?」
ララがそう声をかけると、その子供は立ち止まり、こっちを振り返った。
―――その時だった。
炎に耐えられなくなった店が、いとも簡単に崩れ落ちた。
危ない。
そう脳が判断し、走りだそうと体が構える。
けど。
俺より先に駆け出したのは―――ララだった。