紺碧の地図
ポツリ、ポツリと。
ゆっくりと、そして徐々に激しく。
空が、涙を流した―――…
「―――え…」
突然の大雨に、人々は空を仰ぎ、呆然と立ち尽くしていた。
街を襲っていた炎の勢力は、いとも簡単に衰え、静かに雨に溶けていった。
私はしばらくして、炎はもう消えたんだ、と実感した。
安堵のため息をついた後すぐに、ぐったりとしたゼンの姿が目に入る。
「…ゼン!!」
私の呼び掛けに、ゼンはピクリともしない。
「やだっ、ゼン…!!」
炎は消えたよ。
街は…助かったよ…!
「…っ、目を開けてよ、ゼン!!」
「………うるさい」
―――え?
ぱちくりと瞬きをすると、見間違いじゃなくて、不機嫌な顔をしたゼンが私を見ていた。
「…ゼン?」
「…そんなに声張り上げなくても、聞こえるから」
そう言ったあと、ゼンは「痛っ」と顔をしかめた。