紺碧の地図
「…気が済んだ?」
ゼンは、何事もなかったかのように脱ぎ捨てた服を拾い上げ、着始めた。
「あ…うん。治ったなら、いいの」
ぎけちなく答えたあと、私は不思議に思った。
あそこまで…きれいに治るなんて。
よっぽどの腕のあるお医者さんじゃないと、無理だよ。
小さく沸いた疑問は、ニーナが上げた声にかき消された。
「…あっ、うそ」
ニーナは顔をしかめて、まじまじと地図を眺める。
すかさず、ゼンが声をかけた。
「…どうした?」
「あー…、次の目的地、ティナよ」
―――"ティナ"。
おそらく、地名だと思うんだけど、私にはわからなかった。
でも、何人かは「げ」って顔をして、頭を抱えた。
「ティナ!?」
反対に、顔を輝かせたのは―――レキ。
「マジで?ティナ?うわー!行きてーけど行けねー!!」
一人興奮するレキに、私は首を傾げる。