紺碧の地図
三人のやりとりを、ぼーっと眺めていた私は、ニーナの言葉に反応出来なかった。
「何で!? 俺だけなわけ!? 他のやつらは!?」
レキがゼンとニーナに訴えながら、他のみんなに助けを求めるような視線を送った。
…でも、残念。
みんなは、レキと視線を合わせようとせず、ひたすら床とにらめっこしていた。
みんな、女装は嫌らしい。
…当たり前だけどね。
「ひどっ!! お前らひどすぎるだろ!?」
「うるさいわね、レキ。男なら男らしく、女になりなさいよっ!!」
「意味わかんねーよ!!」
最早涙目になりながら、レキはゼンの両肩を掴んだ。
「~よし、ゼン!お前もだ!!」
「…は?」
顔をしかめたゼンに、レキは続ける。
「お前も女装するなら、俺もする!!」
「…殴るよ」
レキの必死の提案を一蹴したゼンに、ニーナはさらりと言った。
「それでいいんじゃない?」