紺碧の地図
「………」
暫くの沈黙。
何ともいえない緊張が、事情を知っている私たちの間に流れた。
「…うん。大丈夫ね」
一人の女の人が満面の笑みでそう言い、ブローチをゼンに渡した。
ゼンはそのブローチを静かに受け取ると、ちらりと私とニーナに視線を向けた。
私はゼンに笑いかけたあと、小声でニーナに話しかけた。
「…よかったねっ」
「…問題は、あっちよね…」
ニーナの困ったような視線の先には…がっちがちに緊張しているレキの姿。
唇を真一文字に結んで、冷や汗が額を伝っている。
いつものおどけた感じは、どこにいっちゃったんだろう。
…とにかく、普通にしてれば女の子に見えるのに、今のレキはどこか怪しい。
「…あなた、具合悪そうよ?大丈夫?」
そう声をかけられたレキは、びくんと反応した。