紺碧の地図
口を開きかけ、声を発したらダメだと気づいたのか、レキはただ無言で頷いた。
「そっ…その子、極度の人見知りなんですっ!」
このまま疑いの目を向けられたらまずいと思い、私はとっさにそう口にした。
「知らない人に対しては、いつもそんな感じでっ」
「…あら、そうなの?」
少し顔をしかめながらも、私たちのときと同じように、レキの顔を凝視する女の人たち。
ゼンのときよりも、たっぷりと時間を置いたあと、
「…まぁ、立派な女の子みたいね。入国許可するわ」
と言って、レキにブローチを渡した。
レキはホッとしたような顔でそれを受け取り、すぐ胸元につけた。
同時に、静かに音を立てながら、大きな門が開く。
「改めてまして。ようこそ、ティナへ」
私たちは、互いに顔を見合わせたあと、大きな門をくぐり抜けた。