紺碧の地図
「…ごめん」
先に口を開いたのは、ニーナ。
ニーナはゆっくりと視線を上げると、レキを見据えた。
「言い過ぎたわ」
レキは少し間を空けてから、首を横に振った。
「…いや。俺もいつまでも引きずってて悪かった」
二人に冷たい視線を向けていたゼンは、ふっと笑った。
「…分かればいいんだ。先に進もう」
私はゼンの後ろ姿を、黙って見ていた。
…素直に、凄いなぁって思った。
当たり前だけど、ゼンは船長なんだ。
比べる意味なんてないのに。
近くにいるはずのゼンが…すごく遠くに感じた。
「…何してんの。行くよ」
ゼンに声をかけられ、私はとっさに微笑んだ。
「…うん」
そう。
意味なんてないの。
私とゼンは…違うんだから。
私がゼンの後ろに続こうとした―――そのとき。
「ぅわっ!!」
「………っ」