紺碧の地図
急に曲がり角から飛び出してきた人物と、ゼンがぶつかった。
その反動で、ゼンとぶつかった相手は地面に倒れた。
「あっ―――」
ゼンのウィッグが、その弾みで取れ、地面にパサリと落ちた。
私たちの間に、やばい、という緊張が走った。
―――でも。
「…あ、れ?」
自分が見た光景が信じられず、私は思わず声を上げた。
ニーナもレキも、ゼンも…ポカンと口を開けていた。
ゼンとぶつかった相手は、痛さに呻きながら、頭に手をやった。
「………れ?」
その瞬間、その顔から血の気が引いていく。
その人の近くには…ゼンのものとはまた違う、ウィッグ。
もしかして。
もしかしなくても。
「男の…子?」
私たちの目の前にいるのは。
紛れもなく、男の子だった―――…