紺碧の地図

言い終えた瞬間、またも真っ赤になるロシュの顔。


そんなロシュを見て、何かに気づいたのか、ニーナがにんまりと笑った。


「ふーん…。へぇ~?」


「!! う、うるせっ!!」


「やだ、何も言ってないじゃない♪」


「顔が言ってる―――!!」


ロシュは両手で顔を覆い、天井を仰いで嘆いた。


「…レイル姫って?」


私が訊ねると、ニーナがロシュを見て苦笑しながら答えた。


「確か、この国の姫よ。大の男嫌いって噂」


「へ―――…」


大の男嫌い?


だから、この国は女の子しかいないのかな。


…で、ロシュはそんなお姫様に逢いたがってる?


「好きなんでしょ?レイル姫が」


ニーナの問いに、ロシュは顔を覆っていた両手をゆっくりと下ろした。


顔は真っ赤なままで、でもどこか寂しそうだった。


「…そうだよ。初めて逢ったのが、三年前なんだ」



< 130 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop