紺碧の地図
言い終えた瞬間、またも真っ赤になるロシュの顔。
そんなロシュを見て、何かに気づいたのか、ニーナがにんまりと笑った。
「ふーん…。へぇ~?」
「!! う、うるせっ!!」
「やだ、何も言ってないじゃない♪」
「顔が言ってる―――!!」
ロシュは両手で顔を覆い、天井を仰いで嘆いた。
「…レイル姫って?」
私が訊ねると、ニーナがロシュを見て苦笑しながら答えた。
「確か、この国の姫よ。大の男嫌いって噂」
「へ―――…」
大の男嫌い?
だから、この国は女の子しかいないのかな。
…で、ロシュはそんなお姫様に逢いたがってる?
「好きなんでしょ?レイル姫が」
ニーナの問いに、ロシュは顔を覆っていた両手をゆっくりと下ろした。
顔は真っ赤なままで、でもどこか寂しそうだった。
「…そうだよ。初めて逢ったのが、三年前なんだ」