紺碧の地図

―――――…


三年前。


発掘家だった俺は、一人小舟に乗り、航海をしている最中だった。



運悪く、その日は天候が荒れていて、小舟ごとひっくり返りそうな勢いだった。


そんな時、急に高波に襲われ、俺は小舟もろとも海に呑まれたんだ…





…コトン


小さなその音で、俺は意識を取り戻した。


ぼんやりとした視界の中に、一人の人物が映った。



「…お目覚めになりましたか?」


優しく笑ったそのひとは、驚くほど綺麗で。


整った顔立ちに、艶やかな腰まで伸びた黒髪。



俺は、その一瞬で恋に落ちたんだ。



「…っ、あ…あなたは?」


高鳴る心臓を押さえつけるように、俺は彼女に訊ねた。


「私は、このティナ国の第一王女、レイルです」


「レイル…姫…!?」


禁断の花園。


そう呼ばれていたティナの噂は、たまに耳に入ってきていた。


そこの姫が、男嫌いだということも。



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