紺碧の地図
「俺っ…」
「近くの海岸で倒れていたのを、私が見つけたんです」
レイル姫は、笑顔で俺にカップを渡しながらそう言った。
俺は短くお礼を言ってカップを受け取ると、遠慮がちに訊ねた。
「あの…俺がここにいることは…?」
俺の問いに、レイル姫は首を横に振った。
「私しか知りません。誰にも見つからないように、運びましたから」
…そりゃそうだよな。
男禁止なんだから、見つかったら大騒ぎだろうな。
「何か…すみません」
俺が軽く頭を下げると、くすくすと聞こえた笑い声。
「…いいんです。放っておくことなんて、出来なかったんですから」
顔を上げ、俺が何かを言おうと口を開いた―――その時。
「レイル姫様。お食事の時間です」
扉を叩く音と、扉の向こうから聞こえた声。
俺とレイル姫は、びくんと肩を震わせた。
―――まずい。