紺碧の地図
◆絡まる鎖
ティナの門を出た私たちは、来たときと同じ小舟に乗り込んだ。
私は振り返り、遠ざかっていくティナを見つめた。
―――さよなら。
ロシュ、レイル姫。
どうか元気で…
心の中で別れを告げたとき、私の足元にパサリと何かが落ちた。
「あ―――っ、解・放・感!!」
ぐっと伸びをするレキの頭は、いつもの髪型に戻っていて。
女装の為のウィッグが、私の足元に転がっていた。
「ゼン、お前も取れば?」
にこにこと笑顔で話しかけるレキに、ゼンは面倒くさそうに答えた。
「…いや、いい。恰好が恰好だし」
そう。
ウィッグを取っても、恰好は女の子の服装。
でも、レキはそんなこと気にしてないみたいで、「気分が楽になるぜー?」と鼻歌を歌い始めた。
…レキ、よっぽど女装が嫌だったんだね。
そこで、私は横目でニーナを捉えた。