紺碧の地図
「…俺と勝負して、あんたが勝ったら船乗ってもいいよ」
「………!」
「…どうする?」
私が勝てる見込みなんて、ゼロに等しい。
でも…
でも、このチャンスを無駄になんてしたくない。
「…やるわ」
私は、ゼンから剣を受け取った。
その剣の重みが、ずしりと手のひらに伝わってくる。
「構えて」
ゼンに指摘され、慌てて鞘から剣を抜く。
その刃の鋭さを見て、私は思わず喉を鳴らした。
…う。
私、ここでゼンに殺されちゃったりしないよね?
縁起でもない考えを、頭を大きく横に振って追い払った。
―――集中、しなきゃ。
「お願いします!」
私の声が、夜空に響くのと同時に、私は大地を蹴って駆け出した。