紺碧の地図
弾き飛ばされた剣は、月の光に照らされながら、空中に大きな弧を描く。
そして為す術もなく、地面に落下した。
「…あんたさ、何でそんなに必死なの」
息ひとつ乱さないゼンは、自分の剣をゆっくりと鞘に収めながら、私に訊ねた。
「…約束…したから」
初めて剣を握り、擦りきれた手のひらを眺めながら、私はポツリと呟く。
ゼンは、その私の答えに眉をひそめた。
「…約束?」
「―――っ、ゼンには関係ない!」
つい声を上げてから、私はハッとして口をつぐんだ。
…こんなの、やつあたりだ。
「ご…ごめん」
足元を見ながら謝る私に、ゼンはため息を返してきた。
「…理由はどうあれ、そんな簡単に船には乗せられない」
そのキッパリとした口調に、私は唇を噛みしめた。