紺碧の地図
だから…
「だから、お願い。私を船に乗せてください」
私が深く頭を下げると、沈黙が降りた。
勝手だって、わかってる。
荷物になるって、わかってる。
でもやっぱり、私は―――…
「………」
気配で、ゼンが私に背を向けたのがわかった。
私が慌てて顔を上げると、船に向かうゼンの後ろ姿が瞳に映る。
やっぱり…ダメ、かな。
じわりと、目頭が熱くなる。
―――泣いちゃだめ。
そう自分に言い聞かせて、歯を食いしばりながらゼンの姿を見つめた。
…だから、
「…何してんの。早く乗りなよ」
振り向いたゼンが言った言葉が、信じられなくて。
「………っ、え!?」
つい、間抜けな返事を返してしまった私。
そんな私を見て、ゼンが呆れた顔でため息をつく。
だって、だって。
私…乗ってもいいの?