紺碧の地図
その流れで、みんなが自己紹介を始めようとしたところで、
「…そのうち覚えるんじゃない?」
…というゼンの一言により、自己紹介はお預けになった。
レキ曰く、「ゼンは時間食うのが嫌なだけだって絶対!」…らしい。
確かに、こんなにたくさんの人たちが自己紹介したら、どれだけ時間かかるんだろう。
夜も遅いし、船を出すのは明日の早朝だと告げると、ゼンはさっさと寝室へと行ってしまった。
その後ろ姿を見送った私は、傍にいたレキに話しかけた。
「…ゼンって、いつもあんな感じなの?」
「ん?…あんな感じ?」
「クールっていうか…何ていうか…」
うーん、と唸って言葉を探す私に、レキはあはは、と笑った。
「ゼンは、基本ポーカーフェイスだよ。まぁ、そこが長所と言えば長所かもな」
ぞろぞろと船室へと入っていく新たな仲間を、私は横目で捉えた。