紺碧の地図
すると、ちゃっかりとゼンの隣に座っていたアルザと目が合う。
「………」
やっぱり、アルザの視線はどこか挑戦的で。
でも私が何か言う暇もなく、その瞳はゼンへと向けられた。
「ゼン、このパイはオススメだぞ」
「…ああ。ありがとう」
アルザがパイを一切れゼンに差し出す様子を、私は黙って見ていた。
…もう、何なの。
また広がりだしたモヤモヤを誤魔化すように、私は目の前のご馳走に手を伸ばした。
自分でも、よく食べたと思う。
ただひたすらに、口に物を運んでいた私は、ゼンの「…食べ過ぎじゃない」という呆れた声で我に返った。
食事が終わってから、国王様とゼンの団欒が始まり、私はただその会話を黙って聞いていた。
途中話が難しくなって、眠りそうになる自分を必死で叩き起こした。
…実際、記憶は途切れ途切れなんだけど。
やっと一段落着いたころには、辺りはすっかり真っ暗になっていた。