紺碧の地図
「…と、いうわけだ。わかってるだろうな?」
声のする方へと、忍び足で駆け寄った私は、その姿を見て、慌てて身を隠した。
…やっぱり、アルザだ。
私は見つからないように注意を払いながら、物陰からそっとアルザを観察した。
けどそこにいたのは、アルザだけじゃなかった。
体格のいい男の人が二人。
その服装は、王宮の護衛とは言い難く、どちらかといえば…海賊に近い。
私はその考えを、まさか、と頭を横に振って追い払った。
「わーかってますってぇ。何度オレたちに言やぁ気が済むんです?」
ゲラゲラと笑う男の人に対して、アルザは不快そうに眉をひそめた。
「…お前らじゃ頼りないからだ。いいか、これはバレたら意味がないんだ」
「頼りねぇって…ひでぇっすよ、王女サマ」
―――バレたら意味がない?
アルザは一体、何を…?
そのとき、チャリ…と音がして、男の人が腰の剣を抜いた。
アルザがその切っ先を見て、ごくりと喉をならす。