紺碧の地図
◆隠されたキモチ
優しい笑顔を浮かべる人たちがいた。
「お父さん…お母さん…?」
信じられなくて、私は二人を呼ぶ。
お父さんとお母さんが、私の少し離れた所に立っていた。
二人は、私の大好きだった笑顔で手を振って…そして、くるりと背を向けた。
「…!やだ、待って…」
遠ざかる二つの背中を追いかけた私は、すぐに転んだ。
慌てて顔を上げると、もう二人の姿はどこにもなかった。
―――どうして。
唇を噛みしめ、か細い声でそう呟く。
涙で揺れる視界に、別の誰かが映った。
「…ロジー…?」
私の大切なひとが、あの頃の記憶の姿のまま現れた。
けど、ロジーもまた、小さく微笑んで闇に溶けた。
みんな、みんな…どうしていなくなっちゃうの?
私は、ここにいる。
ここにいるのに。
堪えきれずに溢れ出した涙。
そのとき、スッと手が差し伸べられた。
ゆっくりと顔を上げた、その先にいたのは…誰―――…?