紺碧の地図
私は、両手でぎゅっと剣を握り、静かに構える。
…怒られたって構わない。
呆れられたって、けなされたって平気。
だから…願ってもいいかな。
生きて、ゼンと…みんなと航海を続けたい。
「…勝負よ」
自分でも情けないと思うほど、震えた声。
怖くないって言ったら嘘になる。
誰かを護ろうと剣を握るのって、こんなに勇気がいるんだね。
…でも、不思議。
護ろうと思う誰かがいるだけで、少しだけ…強くなれる気がする。
「後悔するなよ…お嬢ちゃん」
お頭はニヤリと笑うと、地面を蹴った。
後悔なんか、しない。
私は私の道を進んだだけ。
自分で決めた道だもん…振り返ったりなんか、絶対しない。
剣を握る手のひらに、ぐっと力を込めた―――そのとき。
私の瞳に映ったのは、誰よりも逞しく思える、
「ゼン…?」
ゼンの、後ろ姿だった。