紺碧の地図

「随分と熱にうなされていた貴様を、付きっきりで看病していたからな」


「………!」


アルザは「じゃあな」と言って、部屋を出た。


パタン…と閉まった扉を、私は胸元をぎゅっと掴んだまま見つめていた。


速まる鼓動は止まることを知らず、寧ろ加速していく。


「とりあえず…お礼…」


そう自分に言い聞かせ、私はゆっくりとベッドから降り、静かに扉を開く。


窓の外を眺めていたゼンが、私に気づき、振り返った。



視線が絡み、心臓が跳ねる。


「あ…アルザは?」


何もかも見透かされてしまいそうな気がして、私は視線を逸らしながら話しかけた。


「…ロイのところに行ってくるってさ」


「そ、そっか」


…どうしよう、変だよ私。

何か、ぎこちない。


「…あんたさ、」


「えっ!?」


俯いていた顔を勢いよく上げると、ゼンは少し驚いた顔をして、すぐに笑った。



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