紺碧の地図
◆迷う心
「ララちゃ~…ぐげぐほぁあっ!!」
私に抱きつこうとしたレキは、ニーナの鉄拳を食らって吹き飛んだ。
…いた、痛そう。
思いっきり壁に頭打ったよ?
「ララ、大丈夫だった?」
「あ、うん。私よりレキが…」
「放っときなさい、あんなバカ」
相変わらず、ニーナのレキに対する態度は変わらない。
けど、この"変わらない"光景が、今の私にとって一番必要なものだった。
「そういえば、ゼンは?」
ニーナの言葉に、体が過剰に反応する。
…変わってしまった、私の心。
それは紛れもない事実で、だからこそ…認められないものだった。
「ゼンは…国王様に別れの挨拶に行ったよ」
作り笑顔を浮かべたまま、私はこれまでの経緯を、ゼンから連絡を受けて集まってきた仲間に話した。
アルザの狂言誘拐から、盗賊の乱入…アルザとロイの和解まで、全部。
たったひとつ、私の中に芽生えた感情だけを除いて。