紺碧の地図

「そう…大変だったのね」


ニーナに心配そうな表情でそう言われ、私は苦笑した。


「うん。でも、表沙汰にはならなかったから」


今回の事件は、下手をすればアルザの命が危なかった。


…だから、アルザが企てた誘拐は、決して許されるものじゃない。



でも、国王様の怒りの矛先を逸らしたのは、ロイだった。


アルザの気持ちをちゃんと分かってなかったのは自分で、アルザがしようとしていたことを知ったのに、止められなかったのも自分だから。


そう言って、今回の事件は自分のせいだとロイは主張した。



…んだけど。


そうしたら、今度はアルザがロイは関係ない、自分が悪いって言い張って。



結局呆れた国王様が、今回は特別に見逃すってことで事件は解決した。


その国王様の表情が、微かに嬉しそうだったのは…きっと、私の気のせいじゃない。


国王様も、アルザとロイの関係を心配してたんじゃないかな。



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