紺碧の地図
笑い声が溢れる中で、視線はどうしても、ゼンの方へ向いてしまって。
ゼンの優しい微かな笑みに、また心臓が高鳴る。
さっきまで冷たかったペンダントが、急に熱を帯びた気がした。
「…それじゃ、行こうか」
不思議とゼンの声は、そんなに張り上げなくてもみんなに届く。
笑顔のままみんなが頷くと、ゼンはアルザの方を向き、片膝をついた。
「…いろいろと、ありがとう。どうか元気で」
「いや、こちらこそ世話になった。ほらロイ、礼を言え」
アルザは笑顔のまま、ロイの背中をバシッと叩いた。
「え!? 俺ですか!?」
「貴様はロイじゃないのか」
「…いえ…。みなさん、ありがとうございました」
頭を下げるロイに続いて、アルザも軽く会釈をした。
…相変わらずな二人だけど、きっともう大丈夫。
ロイが大切に持っていた、ペンダントの写真のように、笑顔を浮かべていたから。
「―――元気でな!」
そんな二人に見送られ、私たちはアルフィザを出航した―――…。