紺碧の地図
◆◆◆
少し欠けた月が、大海原を優しく照らす。
アルフィザを出航してから数時間後、辺りは闇に満ち、静寂に包まれていた。
…久しぶりの、静かな夜。
「…んー…」
大きく伸びをしながら、眠れなかった私は甲板へと足を進めた。
けど、そこにあった人影を見て、思わず私は声を上げてしまった。
「…あ」
静かに流れる空気の中では、ほんの小さな声も大きいくらいに響く。
私に気づいたその人影は振り返ると、ほっとしたように笑った。
「…何だ、ララちゃんか」
「誰だと思ったの?レキ」
私が横に並んで海を眺めると、レキも視線を戻した。
「や、お化けかなーと」
「…レキってば、怖がりなの?」
クスクスと笑う私に、レキは「そーゆうんじゃねぇし」とムキになってそっぽを向いた。
月の光に照らされ、レキのピアスが輝く。
…うん。
私にもわかるよ、レキ。