紺碧の地図
「…夜って、怖いよね」
ポツリと呟いた私に、レキはゆっくりと反応を示した。
「ララちゃん…」
「世界に、たったひとりきりになったような気がするから」
暗闇、静寂。
安心するといえば、する空間。
…でも、ふと気づく。
―――あまりの自分の無力さに。
「…それでも私は、夜が好きだよ」
レキの瞳を捉えて、静かに微笑む。
けどレキは、その瞳を悲しげに歪ませた。
「俺は…嫌いだよ、夜なんか」
その悲しみを隠すように、レキは笑った。
「夜は、俺の大切なものを…いつも闇にさらっていく」
「レキ…」
レキは不意に私を見ると、申し訳なさそうに笑って、言った。
「ララちゃん。少し…俺の話を聞いてくれるかな」
嫌だなんて言えるはずもなく、私はゆっくりと…頷いた。