紺碧の地図

言葉を失う私に、レキはへらっと笑う。


「やっぱ、何か考えてたんだ」


…ふざけているようで、レキは人の心をしっかりと見てる。


ゼンがレキを副船長に選んだ理由が、なんとなくわかった気がした。


―――でも。


「ゼンのこと…考えてたんだよ」


これは半分嘘で、半分本当のこと。


今の気持ちを、私は誰にも言ってはいけない。


ゼンを想う気持ちは、ロジーを想っている私にとって…あってはならないものだから。



笑い返した私を見て、レキはその笑顔をふっと歪めた。


「…ララちゃんは、やっぱゼンに似てるな」


「…え？」


けどその悲しげな表情は、瞬時に隠された。


「ただの独り言！さーてと、俺はそろそろ寝よっかな」


いつもの愉しそうな瞳に、明るい口調でレキはそう言うと、私に背を向けた。


レキが言った言葉の意味を考えていると、不意にレキが振り返る。


「…ララちゃん」


その姿に、どきりとした。